「小さな学校」「小さなクラス」が世界の流れ
(2013年2月13日)
日本の小学校の学校規模は諸外国の2〜3倍
統計資料としては少し前のものになりますが、「ユネスコ文化統計年鑑 1999」によれば、外国の学校規模(初等教育)は100〜200人程度。しかも1学年1学級でクラス替えがないのが一般的です。
それに対して日本は、300人を超えています。諸外国の2〜3倍もの規模なのです。
アメリカは、日本を越えていますが、無理な学校統廃合で学校規模が拡大し、学校の荒廃が広がったことの反省から、現在では小さな学校の意義が見直されています。
※ 「ユネスコ文化統計年鑑1999」より作成
学級規模も日本はOECD平均を上回る
OECDの「図表で見る教育2013年版」によれば、1学級当たりの児童・生徒数は、初等教育(小学校)が27.9人(OECD平均21.2人)、前期中等教育(中学校)が32.7人(OECD平均23.3人)と、どちらも日本はOECD平均を上回っています。
※ OECD「図表で見る教育2013年版」 より作成。計数が不明の国は除いています。
日本では、公立小中学校の標準規模は12〜18学級、1学級の児童・生徒数の標準は現在40人(小学校1年生は35人)と定められています。
いま進められている学校統廃合は、多くの場合、学校の「標準規模」(12〜18学級/校)を目標に計画されていますから、1つの学校の児童・生徒数が480人〜720人というような世界に例を見ない大規模校をめざしていることになるのです。
財務省の「学校規模の最適化に関する調査(2007年7月)」によれば、1校12〜18学級の中学校が2倍以上に、小学校は1.3倍に増えています。19学級以上の小学校も数は多くありませんが3倍(2校→6校)に増えています。
財務省は、こうした結果、「小中合計で約170億円の効率化」ができたと「成果」を強調し、今後、地方自治体や国をあげて学校統廃合を促進させる方向を提起しています。
学校規模を小さくする世界の流れに逆行し、学校経費の効率化のため学校規模を維持もしくは大きくしようというのが、いまの日本での学校統廃合の動きなのです。
「小さな学校」「小さなクラス」の方が教育効果が高い
諸外国で学校規模が小さいのは、それだけ教育効果が高いからです。
「小さな学校」「小さなクラス」ほど、学習意欲や態度が積極的になり、子どもたちの人格形成・人間的成長にとっても効果的であることが実証されています。
学校・学級の規模と教育効果の関係についての研究報告としては、
- 学校の規模が小さいほど教育効果が高まることを実証した「コールマン報告」(1966年)
- 学級の規模が小さいほど教育効果が高まることを実証した「グラス・スミス曲線」(1982年)
などがあります。また、WHO(世界保健機関)は生徒100人を上回らない学校規模を勧告しています。
これからの時代、単なる知識の詰め込みだけの受身の教育では役に立ちません。知識を応用し、いろいろな課題解決に取り組む力、集団の中で自らの能力を主体的・積極的に発揮する力が求められます。
そうした力を培うには、小さな学校が有効なのです。