Uターン通達以降、学校の標準規模・適正規模の解釈が柔軟に

Uターン通達以降、学校の標準規模・適正規模の解釈が柔軟に

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学校の「適正規模」「標準規模」の解釈が柔軟に

1973年の「Uターン通達」以降、学校の「適正規模」「標準規模」についての解釈・運用が柔軟になっています。

 

「ただし書」

「ただし書」とは何かというと、「学校教育法施行規則」第41条は、

小学校の学級数は、12学級以上18学級以下を標準とする。ただし、地域の実態その他により特別の事情のあるときは、この限りでない。

となっています。この「ただし」以下の部分です。

 

「みなし規定」

また、「義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律施行令」第4条1項では「適正な学校規模」の条件として、

  1. 学級数がおおむね12学級〜18学級までであること。
  2. 通学距離が、小学校はおおむね4q以内、中学校はおおむね6q以内であること。

とされていますが、同条3項で、この条件に適合しない場合においても、文部科学大臣が教育効果、交通の便その他の事情を考慮して適当と認めるときは、条件に適合するものとみなすとされています。「みなし規定」というのはこの部分です。

 

「標準規模」「適正規模」の弾力運用

原則は「12〜18学級」が学校の「標準規模」「適正規模」とされていますが、必ずしもそれにこだわる必要はない、「12〜18学級」でなくても、事情がある場合には「標準規模」「適正規模」とみなすというのが、「Uターン通達」後の文部省、文部科学省のスタンスです。

 

なお、「みなし規定」にかかわり、「2」の通学距離の弾力運用は、遠距離通学を認め、遠方の学校との統合を容認することになり、実際そういった統廃合がなされてきたケースもあります。

 

しかし「1」の「12〜18学級」の弾力運用は、小規模校にも適用されるもので、「12〜18学級」でなくても補助対象になるということです。

 

「ただし書」「みなし規定」の意味について、文部省(当時)は国会で次のように説明しています。

 

「条件に適合しない場合でも、具体的ないろいろな条件を勘案して、適当な場合にはそれもまた一つの標準、その標準の考え方の範囲内に入れて考えてもいいではないか、という趣旨が述べられている」

(1978年3月22日、衆院・文教委員会、文部省管理局長)

 

もちろん、この解釈は現在も有効です。残念ながら、スクールバスによる通学を生む学校統廃合に活用されてきた面もあります。

 

とはいえ、法令上の標準規模や適正規模が見直される見通しのない段階においては、小規模校を残し充実させる上で、弾力運用は有効な手段でしょう。

 

ただし、その結果、スクールバスを運行しなければ子どもたちが通えないような学校も生まれています。

 

改定された「手引」では、スクールバスなどを運行して通学時間がおおむね1時間以内であれば「適正配置」と認める条件緩和を行いました。さらなる遠方の学校との統合を可能とするもので、それぞれの地域で学校統廃合の慎重な議論が必要です。