12〜18学級を学校の標準規模・適正規模と規定した2つの法令

12〜18学級を学校の標準規模・適正規模と規定した2つの法令

MENU

学校の「適正規模」と「標準規模」を規定した法令

(2013年2月7日)

「12〜18学級」という「基準」は、「適正規模」「標準規模」として2つの法令の中に出てきます。

「適正規模」の規定

1つは、公立小中学校の施設整備に対する国の補助金(負担金)について定めた「義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律施行令」です。これは1958年(昭和33年)6月27日につくられました。

この中で「12〜18学級」を「適正な学校規模」としています。「適正規模」として基準を定めているのは、これだけです。

第4条で次のように定められています。
(適正な学校規模の条件)
第4条 法第3条第1項第四号の適正な規模の条件は、次の各号に掲げるものとする。
一 学級数がおおむね12学級から18学級までであること。
二 通学距離が、小学校にあってはおおむね4q以内、中学校にあってはおおむね6q以内であること。

ここで、「法第3条第1項第四号」とは次のようなものです。
「義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律」(1958年4月25日)
第3条 国は、政令で定める限度において、次の各号に掲げる経費について、その一部を負担する。この場合において、その負担割合は、それぞれ当該各号に掲げる割合によるものとする。
 (略)
 公立の小学校及び中学校を適正な規模にするため統合しようとすることに伴つて必要となり、又は統合したことに伴つて必要となつた校舎又は屋内運動場の新築又は増築に要する経費 2分の1
2 …第四号の適正な規模の条件は、政令で定める。

このように、公立小中学校を「適正な規模」に統合する際に必要となる校舎や体育館の新築・増築に要する経費の2分の1を国が負担することを法律で定め、その「適正な規模の条件」を政令(法施行令)で「12〜18学級」と定めているのです。

つまり、「適正な規模」とされる「12〜18学級」というのは、学校を統合する場合に学校の規模を「12〜18学級」とすれば、国が校舎や体育館の建築費の2分の1を負担するというものなのです。

老朽化したり危険な学校建物を改築する場合の交付金の補助率は原則3分の1です。国は、自治体にとって大きな財政負担となる校舎建設費の補助率を2分の1に引き上げ、財政誘導によって、学校統合を促したのです。
1970年の「過疎地対策緊急措置法」で、過疎地域で小中学校を統合した場合には、補助率を3分の2に引き上げる特例措置が設けられました。財政力の弱い自治体でも学校統合をやりやすい仕組みを作りました。なお、現行「過疎地域自立促進特別措置法」では、10分の5.5の補助率となっています。

「標準規模」の規定

もう1つは、「学校教育法施行規則」です。こちらは「12〜18学級」を「標準規模」として定めています。

これは1947年(昭和22年)5月23日につくられ、1958年(昭和33年)に省令改正により「12〜18学級を標準規模」として第41条・79条に条文化されました。

第41条および第79条で次のように定められています。
第41条 小学校の学級数は、12学級以上18学級以下を標準とする。ただし、地域の実態その他により特別の事情のあるときは、この限りでない。
第79条 第41条…の規定は、中学校に準用する。

ここで重要なのは、「ただし、地域の実態その他により特別の事情のあるときは、この限りでない」と、もともと例外を前提としていることです。

ですから、それぞれの地域で様々な事情を考慮して決めればよいわけで、この「標準規模」に合わせる必要など全くないのです。

ただし、この「標準規模」をもとに各種補助金などが算定されますから、行政サイドとしては、できるだけこの「基準」に合わせたいわけです。

なお、1973年通知以降は、この「ただし書」部分が重視され、学校規模を重視し過ぎた無理な学校統廃合が禁止されました。